チンパンジー は最近ではバラエティー番組などで見かけることも多くなりました。子供のチンパンジーが起用されることが多く、その愛らしい一面がクローズアップされる一方、大人になるとかなりの身体能力を発揮するのです。
今回はチンパンジーの驚異的な 筋肉 の秘密に迫ります。
圧倒的な力強さ!チンパンジーの筋肉の秘密
チンパンジーは人間に近い?
チンパンジーは人間に最も近い動物として認識されている方も多いのではないでしょうか。遺伝子的には約96%が人間と一致するという研究結果も出ています。
訓練によってじゃんけんを覚えたり、飼育員の鍵の使い方を観察して脱走を図ったりするなど、知能面もとても高いことが知られています。
教え方によっては簡単な言語も習得することができ、人間の4歳ほどの知能を有しているといわれるチンパンジーですが、圧倒的に我々人間とは違った面があります。
その一つが筋肉に関することです。実際にチンパンジーの力強さがどのようなものなのか、見てみましょう。
実際のチンパンジーの力強さ
チンパンジーの握力は300kg程度あるといわれています。
日本人の成人男性の平均は45~48kg程度で、今までの世界最高記録では、スウェーデン人のマグナス・サミュエルソンが192kgという結果を出したといわれていますが、それさえも軽く超えてしまうほどの握力を持っているようです。
興奮したメスのチンパンジーが572kgという記録を出したともいわれているようです。
また、引っ張る力に関してもチンパンジーは強く、人間の3~5倍はあるそうです。
生活している環境のことを思うと、人間と違いチンパンジーは森の中で木に登ったり枝にぶら下がったりするなどして移動しています。
この強さの違いは生活の違いからして当然であるかもしれませんが、そもそも種の違いとして根本的に筋肉の作りが違うようです。
チンパンジーと人間の筋肉の違い
チンパンジーの筋肉の特徴について、いくつか研究結果があります。
ひとつは筋繊維の長さが、人間のそれよりも長いという事実です。これにより、筋肉の収縮の際に人間よりも倍近い力を発揮できるようです。
また、一時的に爆発的な瞬発力を発揮できる速筋という種類の筋肉が、人間のものよりも多く活性化されているため、チンパンジーが一気に強力な力強さを発揮できる要因のひとつとなっています。
しかし一方、細かく繊細に手先を使うといった神経系は人間のほうが圧倒的に多く、チンパンジーではその数が少ないために、一つの脳の指令で動かす筋肉の数が人間よりも多いのではないか、という仮説もあります。
つまりチンパンジーは少しの刺激で一気に筋肉を使える一方、人間のような複雑な動作をすることは難しく、短距離走向きの筋肉といえそうです。
人間との進化の違い
ある研究では、人間は筋肉においては、他の体の部分と比べて8倍の速さで退化してきているという結果もあるようです。
しかしそれと引き換えに人間が他の動物と圧倒的な差で進化を遂げた部分が、脳です。
人間とチンパンジーが種としてわかれ始めたのは487万年前後といわれています。その間、人間は筋肉に使えるエネルギーを脳に比重を置いて進化してきたとされています。
チンパンジーが木の枝を使ってアリをおびき寄せて食べるといった、道具を使う動物であるという事実が研究者の観察により明らかになったのは、まだ最近の事です。
しかし基本的にチンパンジーの親指は人間のものよりも短く、手の形は何かにぶら下がるという動きに対して向いているつくりになっています。
逆に物をつかんだり指先を器用に動かすといったことは人間の手のほうが向いています。
チンパンジーの圧倒的な力強さは、人間とは違った進化の道を辿ってきた結果であることが見えてきました。
チンパンジーを知ることは、私たち人間を知ることにもつながります。今後の更なる研究に期待が高まります。
まとめ
圧倒的な力強さ!チンパンジーの筋肉の秘密
チンパンジーは人間に近い?
実際のチンパンジーの力強さ
チンパンジーと人間の筋肉の違い
人間との進化の違い