ヒヨドリ と ムクドリ は、共に身近でよく見られる鳥です。しかし見た目も大きさもそんなに変わらないので、 違い を聞かれたとしてもなかなか説明しづらいのではないでしょうか。
そんな似た者同士の2種類の違いについてご説明します。
似た者同士でも実は違う?ヒヨドリとムクドリの違い
見た目の違い
両者の外観的な特徴から違いを見てみましょう。
ヒヨドリは体長27~29cm、全身は灰色で頬のあたりに褐色の丸い部分があります。頭頂部の羽の部分が逆立っていることが多く、くちばしと足は黒色です。
一方ムクドリは体長24cmほどで、ヒヨドリより少し小さいです。体色は黒~茶褐色、顔の前面と腰のあたりが白っぽく、ヒヨドリよりも体つきはずんぐりしています。
くちばしと足は黄色い色をしています。これらのことから、見た目で両者を見分ける場合は、体つきとくちばしまたは足の色の違いが大きなポイントになりそうです。
行動の違い
まず、鳴き声に明らかな違いがあります。
ヒヨドリは「ピーヨピーヨ」と少し長めに鳴くのに対して、ムクドリは「ギャーギャー」や「ビヨビヨ」など濁点交じりの声で鳴きます。
飛び方にも違いが見て取れます。ヒヨドリは数回羽ばたいて羽を閉じる、を繰り返して飛ぶので、波を描いて飛んでいるように見えます。
一方ムクドリの飛ぶ姿は直線状です。
また、ヒヨドリのほうがムクドリよりも体を直立させてとまる傾向があるようです。
両者とも群れを成して行動しますが、よく市街地で問題になるのはムクドリです。
夕方、大きな街路樹などに集団で集まって大きな声で一斉に鳴く姿を目にした方も多いのではないでしょうか。
ムクドリは夕方巣に戻る前に集団で集まってこのような行動をする習性があり、時には何千羽もの群れで行動する姿がニュースで報道されることもあります。
ヒヨドリはどちらかというと地上に降りて行動する割合が高いのに対し、ムクドリは木の上など地上から離れたところで行動する傾向があることも関係しているかもしれません。
最後に、ムクドリは年中一定の場所で暮らす留鳥ですが、ヒヨドリは秋になると温かい場所へ食べ物を求めて国内を移動します。
よく晴れた日の午前中が、ヒヨドリが渡るのにちょうどいい条件だとされています。
何を食べているの?
ヒヨドリもムクドリも雑食性で、かつとてもグルメです。昆虫類や木の実、果実、葉もの野菜など何でも食べます。特に甘いものが大好きなヒヨドリは、花の蜜を好んで食べます。
ムクドリよりもヒヨドリの方がくちばしが細く尖っているのは、花の蜜を吸うために特化しているためと考えられています。
庭にバードフィーダーを設置されている方は、果物を置いておくと冬にはヒヨドリが喜んでやってくるでしょう。
一方ムクドリは多くの虫を食べるため、農作物を虫の被害から守ってくれる鳥として昔は大切にされていました。
ムクドリの家族が1年間に食べる虫の数は100万匹以上になるとの研究結果さえあるほどです。
私たちとの関わり
ヒヨドリもムクドリも、身近な野鳥として私たちには馴染み深い鳥ですが、近年では問題も多く抱えています。
まずヒヨドリ。冬場にはキャベツ、ブロッコリー、ハクサイなど葉野菜の食害が急増しています。
これには農家による露地野菜の生産が盛んになり、品種改良により甘みの高い食べやすい野菜が多く栽培されることになり、ヒヨドリの味覚にかなった野菜が多くなったことも一因と言われています。
次にムクドリですが、前述のように、集団で街路樹や住宅地の電線に集まることがあるので、騒音並びに糞の被害に悩まされている事例が多く出ています。
このためヒヨドリとムクドリは狩猟鳥の指定を受けている現状があります。両者はもともと森や林が行動範囲の中心でしたが、高度成長期に伴い都市に進出してきたといわれています。
原因には山林の開発による食料や住む場所、繁殖場の減少等が挙げられます。鳥たちの被害があること自体は対策を講じなければなりません。
しかし私たちが生活しやすくなればなるほど、一方で生命を脅かされている野生動物が身近にいることを忘れないようにしたいものです。
まとめ
似た者同士でも実は違う?ヒヨドリとムクドリの違い
見た目の違い
行動の違い
何を食べているの?
私たちとの関わり