ツバメが巣を作ると幸運が舞い込んでくる。そんな話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
まやかしや迷信と言われてしまえばそれまでですが、実際にどうしてそのようなことが言われているのでしょうか。そこにはツバメと私たち人間との深い関りがあったのです。
今回は、 ツバメの巣 が 縁起 がいいと言われる所以をご紹介いたします。
ツバメの巣は吉を呼ぶ?縁起がいいといわれる理由とは
①賑やかな場所に巣を作る
ツバメの巣が縁起がいいといわれている一つ目の理由は、巣を作る場所にあります。
ツバメは自ら身を守る能力が他の野生動物よりも低いといわれています。そのため人の行き来の多い場所、賑やかな場所を好んで巣を作ります。
こうすることで、人間を利用して身を守っているのです。
商店街のお店の入り口や家の軒下にツバメが巣を作ると、そこは人通りの多い場所=商売繁盛の証としてや金運アップ、吉事の兆しとして喜ばれてきました。
また、ツバメが子育てを行うには風通しがよく、直射日光が当たらない日当たりの良いところで程よい湿度がある場所が適しています。
この条件は風水的にもよいとされ、ツバメがそのような条件のある家に巣を作ると、その家族の1年間の健康が運ばれてくるとされてきました。
②虫を食べて米を守ってくれる
2つめの理由は、ツバメの食べ物にあります。
ツバメは主に昆虫を主食としていて、お米や農作物に被害をもたらす虫を食べてくれることから、農家の人々にはとても重宝されていました。
農家の軒下にツバメが巣を作ると、その年は豊作になるといわれてきました。
虫を沢山食べて農作物を守ってくれる代わりに、ツバメも人間に守ってもらうという対等の関係が成り立っていたのです。
そのためツバメをないがしろにすることは罰が当たるとされ、巣は農家の人々から古く大切に扱われてきました。
③春を告げる存在
ここで、ツバメの「渡り」についてみてみましょう。
ツバメは主に夏は日本で子育てを行い、冬にはフィリピンやベトナムなどあたたかい国へ移動して暮らしています。
太陽が昇っている明るい時にしか飛べないため、夜は海に浮かんでいる流木などを見つけてとまり、休みながら飛び続け、国を行き来するのです。
あの小さな体で1日300kmほども飛ぶと言われています。
ツバメは一度子育てをした場所で毎年巣を作る傾向があります。日本にはオスのほうが一足早く到着し、既にある巣の場所を確認したり、修復するなどしてメスを呼び込みます。
前年使った巣が壊れていたり、場所の条件が悪くなっていたりなどする場合は新たに安全で快適な場所を巣作り候補として探します。
また、ツバメの寿命は野生下ではおよそ1年半と言われています。
巣立った後に生き残れる確率は70%前後ともいわれており、いかにツバメが野生の状態で生き残ることが難しいかがわかるでしょう。
ツバメの飛来は春の訪れを感じさせてくれるものですが、厳しい環境を生き延びて渡ってきたという「生命の象徴」の表れであることも、縁起のよさと関係しているようです。
ツバメの数は年々減少している
近年、ツバメの数は減少しているといわれています。40年前と比較して半分程度に減ったとされる報告もあるほどです。
原因はいくつかあげられます。
まず、巣作りのしづらい環境が増えたこと。ツバメは泥と枯草と唾液を混ぜて巣を作りますが、このような泥が付着しづらい外壁構造の建物が増えたことが理由のひとつです。
糞が汚いということで巣を撤去してしまうケースが増えてきたことも大きな原因です。
加えて天敵のカラスに襲われるケースが増えたことも指摘されています。
これは人間の出すゴミが放置されることが増えるとともに、それを荒らすカラスが増え、結果的に民家に巣を作るツバメが襲われるという悪循環を作り出しているようです。
最後に、農地の減少や農薬の度重なる使用によって、ツバメの餌である虫が減少したことが大きな要因です。
古くから私たちの生活を豊かに彩ってくれたツバメ。このままでは将来的にはその姿を見ることが出来なくなる日が来るかもしれません。
もしツバメが巣を作りにやってきたら、あたたかく歓迎する心持ちで見守りたいものです。
まとめ
ツバメの巣は吉を呼ぶ?縁起がいいといわれる理由とは
① 賑やかな場所に巣を作る
② 虫を食べて米を守ってくれる
③ 春を告げる存在
ツバメの数は年々減少している