「鳴き声の下手なウグイスがいるのはどうして?(前編)」では、 ウグイス がなぜ「ホーホケキョ」となくのか、また 鳴き声 の 下手 なウグイスがいる理由をご紹介いたしました。
後編では、ウグイスの鳴き声にはどのような種類があるのかご紹介いたします。
鳴き声の下手なウグイスがいるのはどうして?(後編)
ウグイスの鳴き声の種類
ウグイスの鳴き声には囀りを含めて、主に3種類あると言われています。
囀り以外で「ケキョケキョ」という声を聞いたことはありませんか?囀り以外の2種類の声のうち、1つはこの不思議な声です。
これはウグイスが縄張り内に侵入者を発見し、その相手に対して威嚇している声です。ウグイスの子育ては主にメスが行い、オスは参加しません。
オスの役割は、このように鳴きながら子育て中のメスと雛を守り、縄張り内に侵入者がいないか逐一見回りをすることです。
オスのこの声を聞くと、エサを集めに飛び回っていたメスは行動を中断し、外敵から襲われないように身を隠します。
そして敵がいなくなると、オスはまた囀りを開始し、引き続き縄張り宣言に勤しむのです。
そしてもう1種類は「チャッチャッ」という少し地味な声で、これは「地鳴き」と呼ばれます。
これはオスメスに共通する声で、主に居場所を知らせたり何らかの連絡手段としての意味を持っています。
メスは一年中地鳴きですが、秋頃少しずつ日が短くなってくると、オスは体内物質が変化して喉の構造も変わり、地鳴きに変わります。
環境によっても鳴き方が違う?
ハワイには約80年前に日本の本土から持ち込まれたウグイスがいます。このウグイスの囀りが、日本のウグイスの囀りと違うという研究結果が国立科学博物館から発表されています。
ハワイのウグイスは「ホーホピッ」というような単調な鳴き方で、日本のウグイスに比べて音や周波数が少ないというのです。
ハワイでは日本に比べて競争相手が少なく、囀りに変化をそれほどつけなくても良かったという理由が考えられているそうです。
日本のウグイスは真冬の寒い時期は温かい場所で過ごし、春には移動して繁殖行動を始めますが、ハワイでは1年中ある程度温かいため、移動する必要がなく縄張りにあまり変化がないことも理由の1つのようです。
まとめ~ウグイスの一生と私たち~
これまでご紹介したように、ウグイスの美しい囀りは、実は激しい生き残りの競争の結果であるいうことが見えてきました。
ウグイスの寿命は8年ほどといわれていますが、天敵の多い野生下では、実際の寿命にはかなり幅があると思われます。
この短い一生の中でウグイスのオスたちはより美しく鳴こうと、技術に磨きをかけていたのですね。
私たち人間にとって、春は新しい季節の幕開けと共に、人によっては一気に環境が変わる不安定な時期でもあります。
もし、春に下手っぴな囀りが聞こえたら、初めて迎えた春に一生懸命生きて競争に勝とうとしているウグイスの姿を想像してみてください。
私たちとは別の世界で厳しい生き残りをかけて戦っているウグイス達が、すぐ身近にいることを思うと、ほんの少し勇気づけられるかもしれません。
まとめ
鳴き声の下手なウグイスがいるのはどうして?(後編)
ウグイスの鳴き声の種類
環境によっても鳴き方が違う?
まとめ~ウグイスの一生と私たち~